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「妻と私」(江藤淳著)「そうか、もう君はいないのか」(城山三郎著)2

 城山三郎の容子夫人が大きな病院に精密検査に行く。城山は仕事場でもあるマンションで待つことにする。検査結果を待っている間、城山は不安でしょうがない。芳しくない結果であったなら、妻に何と言葉をかければいいのか・・・。

 やがて、エレベータの音。聞きなれた妻の足音。何かリズムが聞こえる。妻が歌を歌いながら歩いてきている!こんなときに、歌なんか・・・。その歌声がはっきりと聞き取れるような距離にまで来たとき、城山は愕然とする。

『「ガン、ガン、ガンちゃん ガンたらららら・・・」
 癌が呆れるような明るい歌声であった。
 (中略)
 重い空気は吹き飛ばされたが、私は言葉が出なかった。
 かわりに両腕をひろげ、その中で飛び込んできた容子を抱きしめた。
 「大丈夫だ、大丈夫。おれがついている」
 何が大丈夫かわからぬままに「大丈夫」を連発し、腕の中の容子の背を叩いた。』(「そうか、もう君はいないのか」)

 世の夫は皆、城山と同じ行動をとる。

 「何が大丈夫かわからぬままに、「大丈夫」を連発し、腕の中の容子の背を叩いた」

 そして、今はの際には、江藤淳と同じ思いにいたる。

 昏睡状態の妻慶子のベッドの脇で、妻を見つめている。

『 慶子は無言で語っていた。あらゆることにかかわらず、自分が幸せだったということを。告知せずにいたことを含めて、私の全てを赦すということを。41年半に及ぶ二人の結婚生活は、決して無意味ではなかった。いや、素晴らしいものだった、ということを』(「妻と私」)

 老齢の大作家二人による、先立つ妻への最大のラブレターである。
山野之義 * 一夜一冊 * 14:44 * comments(0) * trackbacks(0) * pookmark

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