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「クライマーズ・ハイ」(横山秀夫著)

 日航ジャンボ機墜落事故から、今日でちょうど25年、四半世紀。

 いくつもの報道においても、特集が組まれている。また、この間、さまざまな書籍・雑誌も出される。

 四半世紀経ったという一つの区切りの日付のブログには、やはり、この事故のことを触れないわけにはいかない。かといって、多くの報道がなされている中、埋もれがちになる私の思いを伝えるのは容易ではない。一冊の本をもってそれに代えたい。

100812クライマーズハイ 「クライマーズ・ハイ」とは、登山者の興奮状態が極限まで達し、恐怖感が麻痺してしまう状態のことをいうそうだ。長距離を走っていると、苦しいはずであるが、ある瞬間から、全く苦痛が感じられなくなるようなことがある。いわゆる「ナチュラル・ハイ」だ。登山にも同じようなことがあるのだろう。


 帯にもあるように、御巣鷹山への日航機墜落事故によって、地元新聞社記者たちの濃密な一週間を書き表したもの。著者は、まさにそのときの地元紙記者であったという。そのときの体験を一つのモチーフにしたもの。

 適切な言葉ではないかもしれないが、重厚な小説だ。

 私は、事故そのものよりも、記者の性、しかも、中央の報道に対する地元紙記者の意地に関心がいった。

 地元紙記者ははいつくばるような取材によって、事故原因が圧力隔壁にあるとする有力情報をつかむ。その若手記者は、なんとか記事にするよう上司である悠木(主人公)に直訴する。悠木は、確たるウラがとれていないのではと躊躇する。

 若手記者は、自分の取材に絶対の自信を持っている。悠木に何度も言う。悠木は決断できないでいる。

 そんな中、毎日新聞が、「事故原因は圧力隔壁」とすっぱ抜く。大スクープだ。地元紙若手記者は「敗れた」。

 私はこのくだりを読んで思い出したことがある。

 JR福知山線脱線事故における、事故調査委員会情報漏洩事件のことだ。

 事故調査委員会が事故の原因を様々な観点から調査している。こともあろうに、JR西日本側から、その調査委員会へ途中経過を報告して欲しいと頼み込む。中には、委員メンバーに菓子折りという手土産を持って行き、教えてもらう。

 情報を事前にもらう。時として、JR側にとって、好ましくない表現を改めてもらうように働きかける。

 何たることか。今後の安全対策に真摯に取り組もうという姿勢が見られない。

 少しでも早くに、いや、どの他社よりも早くに情報を伝えたい新聞記者魂。少しでも、不利益の蒙ることないように、時には情報を改竄しようというJRの保身。

 じっくり考えたい。

 余談。
 この小説にある地元紙記者。浅間山荘事件の取材の熱に、今でも浮かれたままの記者も描かれている。不謹慎な言い方だが、地元紙記者にとって、その地方都市での大きな事件及び事故は、まさに「記者人生」そのものなのだろう。

 もう一つ余談。
 この「クライマーズ・ハイ」は、広貴が先に読んだものだ。昨年、広貴がまだ小学生のとき、妻のお父さんと本屋さんに行く。妻のお父さんが、好きな本を買ってあげるよといってくれる。広貴が選んだ本が、この「クライマーズ・ハイ」。
山野之義 * 一夜一冊 * 23:30 * comments(0) * trackbacks(0) * pookmark

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